History of ALife ; 人工生命はいかにして生まれたか?

人工生命の歴史とは、「生命とは何か?」という問いを探求してきた物理学者やコンピューター科学者たちの歴史でもある。彼らの挑戦を綴ったスティーブン・レヴィの著書『人工生命──デジタル生物の創造者たち』をもとにまとめる、20世紀後半のALifeの誕生と発展の小史。

1940s 後半

  • 1946~53年まで開催されていたメイシー会議に、数学者ジョン・フォン・ノイマンの他、数学者ノーバート・ウィーナーや情報理論学者クロード・シャノン、文化人類学者マーガレット・ミードやグレゴリー・ベイトソン、社会心理学の父ともいわれる心理学者のクルト・レヴィン、複雑系の研究の先駆者であるロス・アシュビーといった面々が集い、生命と情報の問題をシステム論的にとらえて議論する「サイバネティクス」という思考体系が作られた。ALifeはこの思想に多大な影響を受けている。

1951

  • ノイマンが『オートマトンの一般論理学的理論』を発表。「ALife」という言葉は使われていなかったものの、本著は最初の正式なALifeモデルとされている。

1956

  • 数学者エドワード・F・ムーアが「人工植物工場」を発表。自己複製をする、水に浮かぶ工場ロボットのアイデアを提案した。

1950s 後半

  • 理論物理学者フリーマン・ダイソンが、自己複製するオートマトンを月に送り込むアイデアを構想。

1965

  • 理論生物学者スチュアート・カウフマンが遺伝子ネットワークに似たプログラムを用いて自己組織化の研究を進めた。

1968

  • 植物学者アリスレッド・リンデンマイヤーが植物の成長を数学モデルで表す言語システム「Lシステム」を構築。

1970

  • 数学者ジョン・ホートン・コンウェイらが、生命の誕生や死を計算機上でシミュレートする「ライフゲーム」を発表。

1974

  • 情報工学者アルビー・レイ・スミスはリンデンマイヤーのシステムで描かれた植物のイメージに感化され、コンピューターを使って自然の複雑さを表現することを追求した。彼はのちに、ジョージ・ルーカスの特殊効果部隊の第一人者となる。

1975

  • 複雑系・非線形科学者ジョン・H・ホランドが遺伝的アルゴリズムを発明した。

1976

  • ホランドは環境から受け取るメッセージによって行動を決める機械学習の形式「分類システム」を作成した。

1980

  • 政治学者ロバート・アクセルロッドは遺伝的アルゴリズムを用いて「囚人のジレンマ」を題材に協調関係の進化を調べた。

1981

  • AI研究者スチュアート・ウィルソンはポラロイド社ローランド研究所で、人工的な動物を作り出す研究を行った。彼は人工動物を「animat」と呼んだ。

1982

  • 理論物理学者スティーブン・ウォルフラムにより、一次元セルオートマトンを使った研究が進められた。